小学生の自学を教師視点で見ると

アイキャッチ 自学とは

親戚が小学校の教師をやっているので、教員用の自学の考え方を教えてもらったことがあります。

親からの視点と似ていると思いますので、その時に私がまとめたことを書いておきます。

自学とは

自学

自学のポイントは5つです。

1.自学とは

    • 子どもが自分で学びたい内容を選んで取り組む学習方法。
    • 宿題と異なり、学習内容は子ども自身が決定。

2.自学と宿題の違い

    • 宿題:教師が内容を決め、子どもはそれをこなす。
    • 自学:子どもが自分の興味や好奇心に基づき、何を学ぶか自分で選択。

3.自学の重要性

    • これからの社会で生きていく上で、指示されたことを実行するだけでなく、自分で情報を集め、問題解決法を見つけ出し、それを実践する力が必要。
    • 「自分で考え、行動する力」を養うために自学が役立つ。

4.自学の進め方

    • 難しい勉強から始める必要はない。初めはうまくいかなくてもOK。
    • 大切なのは、毎日少しずつでも続けること。そうすることで「自分で考える力」が育つ。

5.自学におけるサポート

    • 子どもが自学に取り組む方法が分からない時は、興味があること、好きなことから始めるのが良い。
    • 子どもが自分の学習について考え、行動できるようにサポートすることが重要。

このように、自学は子どもたちにとって自ら学び、成長するための大切な手段です。

母親としては、その取り組みを温かく見守り、必要なときには適切なサポートを提供することが求められます。

自学の進め方

自学の進め方のポイントは7つです。

1.自学で取り組む内容を選ぶ際のポイント

子どもの興味・好奇心を優先させる

    • 子どもが自分で選んだ「好きなもの、興味あるもの」を学習内容として最優先。
    • 「好きこそものの上手なれ」を実践し、学習のモチベーションを高める。

苦手なことへの挑戦を促す

    • 苦手な分野への挑戦を通じて、問題解決能力と自己信頼を育成。
    • 苦手を克服する過程で得られる成長と自信が、子どもの内面的な強さに繋がる。

授業内容との連動

    • 授業で学んでいる内容に基づく自学で、理解を深め、学習効果を高める。
    • 学校の学習と自学のシームレスな連携により、学びの一貫性を保つ。

自己決定の促進

    • 子ども自身に複数の選択肢を提示し、最終的な決定は子どもに委ねる。
    • 自己決定を促すことで、自主性、自立心、決断力を育てる。

これらのポイントを踏まえて、子どもが自学で取り組む内容を選ぶ際には、その選択プロセス自体が学びと成長の重要な機会となります。

子どもの自主性と学習への意欲を尊重しながら、適切な支援とガイダンスを提供していくことが求められます。

2.めあて(目標)の設定と振り返り(反省)の実施

自学を行うとき、子どもが自分の学習に明確な目標を持ち、その過程をしっかり振り返ることがとても重要です。これには二つのポイントがあります:「めあて(目標)」の設定と「振り返り(反省)」の実施です。

めあて(目標)の設定

  • 「めあて」とは、子どもがその学習活動を通じて何を達成しようとしているのか、具体的な目標を自分の言葉で書き出すことです。これによって、学習に対する意図が明確になります。
  • 目標を設定することで、学習に取り組む際の指針ができ、何を目指しているのかがはっきりします。自分で考え、自分で学習することが自学の本質であるため、このプロセスは欠かせません。

振り返り(反省)の実施

  • 「振り返り」とは、学習が終わった後に、設定した「めあて」に対してどの程度達成できたか、どんな発見があったか、どう改善できるかを自己評価することです。この過程を通じて、学習に対する理解を深め、次へのステップを考えることができます。
  • 振り返りを行うことで、自分の学習プロセスを客観的に見ることが可能になり、自己成長につながります。

支援のポイント

  • 子どもがめあてを設定する際は、ただ漠然とした目標ではなく、「ポイントにまとめる」「順序よく」といった具体的な行動や達成方法を含めるように助言することが重要です。これによって、より具体的で実行可能な学習計画を立てることができます。
  • また、子どもたちが自分の学習に対して責任を持ち、積極的に取り組めるように、彼らの努力や工夫を認め、適切なフィードバックを提供することが大切です。

自学の過程で、「めあて」と「振り返り」を明確にすることは、子どもが自分の学習を管理し、自立して学ぶ力を育てる上で非常に有効です。

このプロセスを通じて、子どもは自分の学習に対する深い理解と、学習への意欲を高めることができるでしょう。

3.工夫を取り入れる

自学を成功させるためには、ただ学ぶだけでなく、その学習過程に「工夫」を加えることが非常に重要です。子どもが学習を楽しく続けるためには、彼ら自身が何か新しい方法を思いつき、それを実践に移すことが鍵となります。

工夫を取り入れる意義

  • 自分らしい工夫をすることは、学習内容をより深く理解し、記憶に残りやすくするために大切です。例えば、学習した内容を絵や図、マンガなどで表現することがそれにあたります。
  • 学習したことを自分なりにまとめ直すプロセスでは、まず情報を集め、それについて自分の考えを整理し、最後に得意な表現方法でアウトプットします。この一連のプロセスが、自学の根幹をなすものです。

具体的な工夫の例

  • 社会の授業で学んだ内容を絵や図を使ってまとめ直す。
  • 地名や県名をクイズ形式で出題する。
  • 保健だよりをマンガ風にまとめる。
  • 自分の思いや考えを作文にする。
  • 理科の実験を流れに沿ってマンガで表現する。

支援のポイント

  • 子どもたちが行う少しの工夫でも、それを認めて褒めることが重要です。教師や親が工夫を肯定的に受け止め、さらなる工夫や改善を促すことで、子どもたちの意欲を削がずに済みます。
  • 子どもたちの工夫を他の子どもたちに紹介することも、新たな学習のアイデアを提供し、学習意欲を高めるために役立ちます。「こんな方法もあるんだ」と気づきを与え、学習への新しい視点を開くことができます。

自学の過程で子どもたちが自ら工夫を凝らすことは、彼らの創造性を育み、学習に対する興味や意欲を持続させるために非常に有効です。

子どもが自分の学習に自ら関与し、楽しみながら取り組むことができるよう、親としてはその工夫を支援し、積極的に取り組む姿勢を育てることが大切です。

4.教師から見たコメントの重要性

子どもが自学で取り組んだ内容に対してコメントを書くことは、彼らの学習過程において非常に重要な役割を果たします。

最初から完璧な取り組みを期待するのではなく、子どもたちが自分のペースで学び、徐々に力をつけていくことを目指すべきです。

しかし、進歩を促すためには、適切なアプローチが必要であり、ここで「コメント」の役割が鍵を握ります。

コメントの重要性

  • コメントは、子どもたちの努力を認め、さらなる成長を促す手段です。ただし、花丸や数値評価のように、作品を見にくくするものや単純な評価ではなく、具体的なフィードバックが求められます。

支援のポイント

  • 積極的なコメント:「いいね」「すごいね」「なるほどね」といったポジティブな言葉遣いで、子どもの取り組みを称賛し、感動や共感を示します。これにより、子どもたちの自信を育み、学習へのモチベーションを高めます。
  • 具体性:単なる称賛だけでなく、「何が」「どのように」良かったのかを明確にし、子ども自身が自分の取り組みの良さを理解できるようにします。
  • 建設的な提案:次にどのような改善点や新たな挑戦ができるかを示唆することで、子どもの学習意欲を刺激します。「もっとこうしてみたらどうか」といった形で、否定的な言葉遣いを避けながら前向きな提案を行います。

手段と目的

  • 自学の取り組みは、子どもたち自身の「学ぶ力」を育むための手段です。このプロセスにおいて、教師や親からの適切な言葉かけが、子どもたちの自立した学びを支えるために不可欠です。

コメントを通じて、子どもたちが自分自身の学習に対する意識を高め、自らの学びを深めていくことができるようになります。

教師や親としては、子どもたちの自学の取り組みをただ放っておくのではなく、彼らの努力を認め、適切なフィードバックを提供することで、子どもたちの成長を促していくことが大切です。

子供には成長を実感してもらう

自学での取り組みでは、学力の向上だけでなく、子どもが自己の成長を実感し、自己肯定感を高めることが非常に重要です。

このために、子どもたちの努力や成果を具体的な形にしてあげることが効果的です。

これにより、子どもたちは達成感を感じ、次への学習意欲を高めることができます。

たとえば、取り組み内容を成果の形するにはこのような事例があります。

取り組み内容 成果の形
四コママンガ マンガ冊子としてまとめる
生き物に関する学習 「○○くん編集の生き物図鑑」を作成
漢字の熟語集め 熟語集冊子
地域の方言に関する調査 方言集やレポート
新聞やニュースで気になったことの調査 自分なりの新聞作り
授業内容のまとめ直し 教科ごとのまとめノート
クイズ作成 オリジナルクイズ集
作文や詩の作成 作文集や詩集
自然観察 観察日記や写真アルバム

自学の過程で、すべてがうまくいくわけではありません。

時には、「これをやろうと思ったけれど、うまくいかなかった」という経験もあるかもしれません。

しかし、それも学びの一部であり、失敗を通じて子どもたちは徐々に自分自身を見つめ直し、成長していくことができます。

子どもたちの自学の成果を形にすること、そしてその過程での失敗も含めて学びの一部として捉え、肯定的にサポートすることが、子どもたちが自己肯定感を持ち、より積極的に学ぶための重要なステップです。

自学はただの学力向上の手段ではなく、子どもたちの自立心や探求心を育てる大切なプロセスです。

まとめ

自学は子どもが自分の興味に基づいて学習内容を選び、自立した学習能力を育てる方法です。

宿題とは異なり、自分で学びたいことを決め、日々少しずつ続けることが大切。

目標設定と振り返りを通して学習過程を深く理解し、工夫を加えることで創造性を育みます。

成果を具体的な形で表し、挑戦する姿勢を育てることが自己肯定感の向上につながります。

教育者は子どもの取り組みを認め、適切なフィードバックを提供することが重要です。
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